8月7日(水)「勇魂よ永遠に」

「勇魂よ永遠に=ROCKY MOUNTAIN」('51・米)監督:ウイリアム・ケリ− 原作:アラン・ルメイ 脚本:アラン・ルメイ/ウインストン・ミラ− 撮影:テッド・マッコ−ド 音楽:マックス・スタイナ− 出演:エロ−ル・フリン/パトリス・ワイモア/スコット・フォ−ブス/グイン・ウィリアムズ/ディック・ジョ−ンズ/スリム・ピケンズ
南北戦争の末期。敗色濃くなった南軍の勢力を挽回しようと、ロバート・リー将軍はバーストウ大尉(エロール・フリン)に秘密の指令を与えた。それは、カリフォルニア州に大きな勢力を持つならず者の首領コール・スミスを抱きこんで、西部を南軍の手中に帰そうとする計画であった。バーストウ大尉は7人の部下を率い、コール・スミスと会見すべく、バトル山に連なる幽霊岩に待機した。そこへコール・スミスの使者カリフォルニア・ビルと名乗る男がやって来て、スミス一味は時機を見計って南軍に加勢する手筈だと知らせた。バーストウの一行は砂漠を行軍中、ショショニー族に襲われている駅馬車を救った。だが、そこに生き残っていたのは馭者とジョアンナ・カーター(パトリス・ワイモア)という若い女と2人だけであった。ジョアンナは、婚約者である北軍士官リッキイ(スコット・フォーブス)に会いに行く途中であった。翌日、偶然リッキイが2人の兵と3人のインディアンを連れて現われた。バーストウはかれらを幽霊岩に連れ捕虜とした。リッキイはカリフォルニア・ビルが実はコール・スミスであることを見破った。スミスは2日以内に加勢に来ると約して去った。その夜捕虜の3人のインディアンは脱走し、隊員たちはインディアンの大挙襲来を予測した。リッキイは北軍陣地までジョアンナを連れて行くことをバーストウに申出たが、拒絶され、その晩単身で逃亡してしまった。翌朝、バーストウは、コール・スミスが途中インディアンに殺されたことを知り、隊の運命が愈々危くなったことを悟った。岩山はすっかりショショニー族に包囲されていた。バーストウはジョアンナを何とか無事に逃そうと考えた。彼女は、はじめてバーストウの深い愛情を知った。部下を率いたバーストウは、ショショニー族の真只中へ躍り込み、その間にジョアンナらは無事逃れることが出来た。しかしバーストウらは、衆寡敵せず全滅した。(goo映画)

◎冒頭、いきなり車が走って来てオヤオヤと思わせられるのだが、その車が或る石碑の前に止まって「ROCKY MOUNTAIN」の原題の由来が語られる。恐らくその石碑にはアメリカ人なら誰でも知っている或る英雄的な事績が記されているのだろう。その原題「ROCKY MOUNTAIN」を邦題の「勇魂よ永遠に」に変えてくれたことで、この物語の内容を我々にも親しいものにしてくれた。
レイフ・バ−ストウ大尉に従って北軍の懐深く潜入した7人は、インディアンに追われる駅馬車を救うべく突撃するシ−ンでそれぞれレイフによって紹介される。“私がこの任務に選んだ7名は勇敢な男ばかりだった。農園から来た童顔のキップ、仏領ルイジアナのピエ−ル、年配だが勇猛果敢、闘志に満ちたバップ、敵に回せば恐ろしい汽船乗りのロ−レンス、山猫のように手ごわい開拓者のジミ−、訓練を積んだ平間児テキサスのジョナス、無法者との歴戦の勇士、平原の鉄人プランク”と。そして忘れてならないのは疲れを知らぬキップの愛犬スポットである。彼らの凄さは最初のインディアンとの遭遇戦で証明され、それぞれの個性のぶつかり合いでのトラブルはあるが、一端レイフの命令が下されるや一糸乱れず行動することでそのプロフェッショナル性を明らかにする。その彼らが任務の破綻が明らかになったことで、インディアンとの遭遇戦で救った駅馬車の御者とジョアンナと北軍の兵士を再び生かすために、オトリとなってインディアンの群れを引きつけ、追い詰められて遂に突撃を敢行して勇猛な死をそれぞれに遂げて行く。ジョアンナの腕の中から飛び出してその勇敢な男たちを追い掛けるスポットの姿が愛らしくも悲痛で、犬を飼った覚えの有るものには涙なしには見られない感動的なラストとなった。呑気呆亭