7月31日(水)「拳銃無頼帖・抜き射ちの竜」

「拳銃無頼帖・抜き射ちの竜」('60・日活)監督:野口博志 原作:城戸礼 脚本:山崎巌 撮影:永塚一栄 照明:高橋勇 音楽:山本直純 出演:赤木圭一郎/宍戸錠/浅丘ルリ子/香川美奈子/草薙幸二郎
★“トニ−”こと赤木圭一郎唯一のシリ−ズもので、'60年に4本が作られた。赤木圭一郎の扮する拳銃使いが、宍戸錠扮するライバルの拳銃使いと対立しながら、悪玉どもをやっつけるのがパタ−ン。そのシリ−ズの第1作。
決して相手を殺さず、その肩を射ち抜いて利き腕を失わせることで有名な“抜き射ちの竜”こと剣持竜二。彼は麻薬密輸団のボスの用心棒になり、同業者・コルトの銀と対決する。

◎同じ'60年の「邪魔者は消せ」では今一個性が定まらなかったが、この「拳銃無頼帖」シリ−ズでは決して相手を殺さない拳銃使いという矛盾した個性が、赤木圭一郎という人を得て確立された。そのライバルとして登場したコルトの銀こと宍戸錠もまた、皮肉な笑いを浮かべる殺し屋という、およそこれまでの日本映画には登場したことのない個性を、赤木と相対することで確立して以後重要な持ち役としたのであった。そして浅丘ルリ子もまた、それまでの可愛い子ちゃん役を脱して背景のある役柄を演じて、以後の長い女優としてのキャリアを踏み出したのではなかったろうか。呑気呆亭