7月26日(金)「幌馬車」

「幌馬車=WAGONMASTER」('50・米) 監督:ジョン・フォ−ド 脚本:フランク・ニュ−ジェント/パトリック・フォ−ド 撮影:バ−ト・グレノン 音楽:リチャ−ド・ヘイゲマン 出演:ベン・ジョンソン/ジョ−ン・ドル−/ハリ−・ケリ−Jr/ウォ−ド・ボンド/アラン・モ−ブレイ
★新天地を求めてサンファンに旅立つモルモン教の幌馬車隊を先導する二人の牧童トレヴィス(ジョンソン)とサンディ(ケリー・Jr)。道中、芸人一座の踊り子(ドルー)をひろい、彼女がトレヴィスにほのかな愛情を抱いたりもするが、やがて強盗一家が隊に加わった事で彼らの旅は困難なものとなっていく……。モノクロ・90分弱の小品であり、ストーリー展開もきわめて一本筋だが、フォードらしい西部への愛着溢れる描写に恵まれた作品だ。<allcinema>

◎ジョン・フォ−ドが「黄色いリボン」と「リオグランデの砦」という騎兵隊物の作品の合間に、このモルモン教徒というキリスト教の特異な一派をまともに扱った映画を撮っていたことにまず驚かされる。その扱い方も偏見のない公平なもので、ナバホ族の酋長に“白人は信用できないがモルモンは信用できる”なぞと言わしたりして、オォ、と思わせる。出演者ではベン・ジョンソンとハリ−・ケリ−Jrのコンビが溌溂として好ましく、ウォ−ド・ボンドがすぐに激高する幌馬車隊を率いる隊長役を演じて、とても敬虔なモルモント教徒には見えないのが可笑しい。また、トレヴィス(ジョンソン)を好ましく想う旅一座の踊り子を演ずるジョ−ン・ドル−が、'48年の「赤い河」に続いて、気が強いくせに涙もろくて可愛い女を好演している。この女優さんのその後の出演作には他に「オ−ル・ザ・キングスメン」を除いて見るべきモノがないのは何故なのだろうか?呑気呆亭