7月12日(金)「リオグランデの砦」

リオグランデの砦」('50・米)監督:ジョン・フォ−ド 原作:ジェ−ムズ・ウォ−ナ− 脚本:ジェ−ムズ・ケビン・マクギネス 撮影:バ−ト・グレノン他 音楽:ヴィクタ−・ヤング 出演:ジョン・ウエイン/モ−リン・オハラ/ベン・ジョンソン/ハリ−・ケリ−Jr/ヴィクタ−・マクラグレン/クロード・ジャーマン・Jr
★カービー・ヨーク大佐(ジョン・ウェイン)は、南北戦争シェリダン将軍(J・キャロル・ナイシュ)の率いる北軍に参加し、シェナンド谷の妻(モーリン・オハラ)の親族の所有地を焼いたので、怒った妻は1人息子ジェフ(クロード・ジャーマン・Jr)を連れて別居してしまった。戦後、ヨークは西部でインディアン討伐戦に従っていたが、横暴なアパッチ族は西部を荒らしてはメキシコへ逃れるので、騎兵隊は追うこともならず切歯扼腕するばかりであった。シェリダン将軍は彼の砦へ視察に来たが、その部下に一兵卒として息子のジェフが赴任し、更にそれを追って妻もついて来た。妻は息子の除隊を願ったがそれは許されず、彼女も砦に居すわることになってしまった。この時アパッチ族の大挙襲撃があり、ついに将軍はヨークに越境の内諾を与えた。彼を待つものが軍法会議であることを知りつつ、彼は敢然部下を指揮して長駆メキシコへ突入するのだったが・・・。(DVDの解説)

◎フォ−ドの騎兵隊三部作といわれるものの最後の作品。邦題は無理に騎兵隊ものにするために、この映画の本来のテ−マであった「隔たり」、妻と夫の、父と息子の、そして騎兵隊とインデイアンの、を象徴する〈リオグランデ〉に「砦」を付けてしまって見事に陳腐化してしまったのだった。その「隔たり」を如何にして超えるかをフォ−ドは様々な手を尽くして描こうとした。それは例えば妻役のモ−リン・オハラの凍結した心を啓かせるために唄う騎兵コ−ラス隊であったり、息子への父の複雑な心遣いであったり、ヨ−ク大佐の軍歴を賭けたリオグランデ川越境の決断であったりするのだが、この邦題はすべてをぶち壊して曖昧模糊にしてしまったのである。呑気呆亭