7月10日(水)「アフリカの女王」

アフリカの女王」('51・米=英)監督・脚本:ジョン・ヒュ−ストン 原作:C・S・フォレスタ− 脚本:ジェ−ムズ・アギ− 撮影:ジャック・カ−ディフ 音楽:アラン・グレイ 出演:ハンフリ−・ボガ−ット/キャサリン・ヘプバーン/ロバ−ト・モ−リ−
第一次大戦下の東アフリカ。船長チャーリーと宣教師の妹ローズを乗せた蒸気船“アフリカの女王”号は河を下っていくが、彼らの行く手には激流や大瀑布、そしてドイツの戦艦が待ち受けていた! C・S・フォレスターの冒険小説を、H・ボガートとK・ヘプバーンという見事なキャスティングでJ・ヒューストンが映画化した傑作ロマン活劇。船上で繰り広げられる二人の芝居から、クライマックスの敵の砲艦襲撃シーン、そしてラストシーンの意表を突く展開まで、いろいろな意味で目を離させない面白さだ。後年、この作品と監督J・ヒューストンをモチーフにクリント・イーストウッドが手掛けたのが「ホワイトハンター ブラックハート」である。<allcinema>

◎冒頭、他人に使われるのが嫌いでアフリカくんだりまで流れてきて、雑貨運搬のボロ船〈アフリカの女王号〉の船長になっているひねくれ者のチャ−リ−が、お堅い宣教師のロ−ズに出会う。チャ−リを演じたボガ−トは、同じヒュ−ストン監督の「黄金」の役をそのまま持ってきたようなむさい格好で登場する。ロ−ズ役のヘプバ−ンは例によっていかず後家のオ−ルドミスを、これほどピッタリする女優さんはいないよなあと思わせる姿勢とスタイルで登場する。この二人のキャステイングによって、この映画の成功は半ば保証されたようなものだ。チャ−リ−は独り稼ぎのひねくれ者にふさわしくなんでも屋で、様々の危機を知恵と機転で切り抜ける。一方ロ−ズは信仰を持つ者の誇りと勇気でチャ−リ−を励まし、思いがけぬ愛嬌と可愛らしさで次第にチャ−リ−の心を掴んで行く。その二人のやり取りを見ながらアフリカの景色も楽しめるという実に映画的な贅沢を楽しめる傑作であります。呑気呆亭