6月28日(金)「黄色いリボン」

「黄色いリボン」('49・米)監督:ジョン・フォ−ド 原作:ジェ−ムズ・ワ−ナ−・ベラ 脚本:フランク・ニュ−ジェント/他 撮影:ウイントン・C・ホック 出演:ジョン・ウエイン/ジョ−ン・ドル−/ジョン・エイガ−/ベン・ジョンソン/ヴィクタ−・マクラグレン
★「アパッチ砦」(48)と「リオ・グランデの砦」(50)の間に位置するフォードの“騎兵隊3部作”の第2弾。退役を間近に控えた騎兵隊の大尉ネイサン(ウェイン)は、隊長の妻と姪を護送する任務を仰せつかった。しかし彼らの隊は、インディアンの大軍に行く手を阻まれ、砦に舞い戻ることを余儀なくされる。そしてネイサンの任期は切れ、彼は仕事に未練を残しつつも、志半ばで退役。だが、彼の退役を記念して贈られた時計が、任期の期限までまだ4時間ほど残されていることを告げる。ネイサンは、集結しつつあるインディアンを、4時間という限られた時間の中で追い払おうとするが……。表層・行為・アクションの場としての西部より、内面・絆・ホームドラマの場としての西部を追及した真の“西部劇作家”J・フォードの代表作のひとつ。ストーリーから受ける活劇としての要素は極力抑えられ、登場人物の細やかな心情描写が冴え渡る逸品だ。<allcinema>

◎黄色いリボンを髪に付けた隊長の姪を廻っての若き士官の恋のさや当てを軸として、退役を間近に控えた騎兵隊のブリトルズ大尉の、隊長の妻と姪を護送する一隊を率いての、追い迫るインディアンの群れからの退却行を丁寧に描いて見応えが有る。馬を休ませるために騎兵隊なのに歩くシ−ンが度々挿入されるのも面白い。しかし、何と言ってもこの映画の儲け役はタイリ−軍曹を演じる馬術の名手ベン・ジョンソンであろう。ブリトルズ大尉もこのタイリ−軍曹には一目置いていて、彼のバッファロ−の群れが出現したことの戦略的な意味の解釈を聞いて、いよいよ彼への信頼を厚くする。いつの間にか若き士官たちと黄色いリボンの娘は後景に退いてしまい、馬を駆ってモニュメント・ヴァレ−を縦横無尽に疾走するタイリ−軍曹と、騎兵隊に同行して荒野を走り渡河作戦にまで参加する犬たちばかりが目立ってしまったのだった。退役して西を目指す元騎兵隊大尉ブリトルズに再任命令が発せられ、その書類を持ってブリトルズを追うのは、もちろんタイリ−軍曹の役目だった。夕焼けをバックにしたウエインとジョンソンの「馬上の二人」の映像は忘れがたい印象を残す。呑気呆亭