6月27日(木)「禁じられた遊び」

禁じられた遊び」('51・仏)監督・脚本:ルネ・クレマン 脚本:ジャン・オ−ランシュ/ピエ−ル・ボスト 原作:フランソワ・ボワイエ 撮影:ロバ−ト・ジュリア−ト 音楽:ナルシソ・イエペス 出演:ブリジット・フォッセ−/ジョルジュ・プ−ジュリ−/シュザンヌ・ク−ルタル
★1940年6月、南仏の田舎。機銃掃射で両親を失い、さまよっていた5歳の少女ポーレットは、少年ミシェルと出会い彼の家に連れていってもらう。ポーレットのために死んだ子犬の墓を作るミシェルから、死んだものはこうやって葬る事を教わったポーレットはミシェルといっしょに次々とお墓造りをしていった…。90分足らずのモノクロ・フィルムにこめられた、美しく悲しい反戦への静かな訴え。ナルシソ・イエペスの切々と鳴り渡るギターのメロディも涙腺を緩ませる大きな力だ。
<allcinema>

◎若い頃に確かに見ているはずだがその記憶はほとんどなく、半ば初見といった感じで観た。これにはクレマンの苦いシニシズムが込められているのではないだろうか。ポーレットの愛犬を葬ることから始まった「葬送」の儀式は、ポーレットの愛らしさに寂しさを癒やされたミシェルが、もっと彼女を喜ばせようとしてエスカレ−トして行く。手製の十字架では満足しないポーレットのために、ミシェルは葬儀車や墓場や教会の十字架を盗み始める。そして水車小屋の内部に作られた二人の墓場に葬られたのは、ミシェルによれば"色んな動物、花や割れた皿やそれからカタツムリ・・・"だった。
ポ−レットとミシェルが共有した命をなくした小さなモノへの哀れみは、この「儀式」にキリスト教の教義を超えたアニミステックな異教の気配を帯びさせるに至る。キリスト教二千年の血塗られた歴史に絶望したクレマンは、この幼き者たちに「禁じられた遊び」をさせることで、冒頭の天上からのイカヅチによる殺戮に静かに物申そうとしたのではなかったか。呑気呆亭