6月7日(金)「右門捕物帖・片目の狼」

右門捕物帖・片目の狼」('58・東映)監督:沢島忠 原作:佐々木味津三 脚本:高岩肇/鷹沢和善 撮影:伊藤武夫 出演:大友柳太郎/堺駿二/花園ひろみ/桜町弘子/里見浩太郎/雪代敬子/進藤英太郎
嵐寛寿郎主演によるシリ−ズ終了後、東映に場を移して再開された大友柳太郎主演の一編。“むっつり右門”の異名をとる江戸の同心・近藤右門が「江戸名物・首尾の松」で発見された5人の首つり死体をめぐる難事件を、名推理で解決する。大友柳太郎のどこか飄々とした持ち味に加え、堺駿二進藤英太郎など、名バイプレ−ヤ−の演技も見もの。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎以前に見た嵐寛寿郎主演の「右門六番手柄・仁念寺奇談」('30)では、山中貞雄の脚本にも関わらずご都合主義の展開と右門の周りを跳ね回るだけのおしゃべり伝六の煩さに閉口したのだったが、この大友柳太郎主演の右門は中々見応えがあった。特に堺駿二の伝六が独特の愛嬌があって好い。この人はどんな役に扮しても控えめながらしっかりと存在感を示して、こうした役者が周りを固めるからこそ主役が耀くのである。呑気呆亭