5月3日(金)「ネブラスカ魂」

ネブラスカ魂」('48・米)監督:レスリ−フェントン 原作:フランク・H・スペアマン 撮影:レイ・レナハン 音楽:アドルフ・ドイッチ 出演:アラン・ラッド/ブレンダ・マ−シャル/ロバ−ト・プレストン
★アラン・ラッド主演の古典西部劇。
1916年と1926年に作られた作品のリメイク。現在確認できるものの中で最初の西部劇とされる「大列車強盗(1903)」は、列車物として製作された。
当時は、”西部劇”という概念がなかったらしい。西部劇の概念が確立されたのがいつかは分からないが1916年と言うのは、列車物と西部劇が交錯していたのではないかと推測する。
つまり、列車と西部劇は密接に関係していて単純には切り離せないものではないかと思う。推測が当たっていれば”ささやきスミス”は、西部劇の系譜として重要な意味を持つだろう。
作品としては、ブラウンが強い色調のテクニカラーで衣装などは緑が多く他の青、赤、黄色と言ったものは弱く「怒りの河(1951)」にも共通する作り。撮影は「風と共に去りぬ(1939)」も撮ったレイ・レナハン。
あまり派手なシーンや展開はないが、強盗、友情、プラトニックな恋愛感情、信頼と裏切りなどしっかりと西部劇の要素が詰まっている。
勧善懲悪であり主人公は、ヒーローである。西部劇の最も西部劇らしい作品と言って良いのではないかと思う。〈allcinema=gapper〉

◎5年後の「シェ−ン」に先行するアラン・ラッドの二挺拳銃の捌きは、これが彼の初西部劇であるとは思えぬほどの巧みさである。「シェ−ン」の原型は既にここに造形されていて、ジョ−ジ・スティ−ブンスはそこに日本映画の股旅物の設定を加えれば良かった、というのはワタクシの当て推量だが、あながち違ってはいないのではなかろうか。西部に於ける拳銃の所持はむろん自衛のためもあったが、カウボ−イにとっては落馬した際に鐙からブ−ツが離れずに引き摺られた時、身を守るために馬を射殺するために所持したものだと聞いたことがある。そのころの拳銃の装着の仕方は腰高にベルトを締めていた。それが映画の中で決闘シ−ンがもてはやされるようになって、早撃ちをしやすいようにガンベルトをずり下げ、末端の皮ヒモで脚に結びつけるようになったのだという。それゆえ、拳銃を二挺持つということはそれだけで職業的なガンマンであることを現わす。この映画のラッドは鉄道会社に所属する保安員であり、「シェ−ン」のラッドは彼がカタギでないことを現わすのである。呑気呆亭