5月2日(木)「甦る熱球」

「甦る熱球」('49・米)監督:サム・ウッド 脚本:ダグラス・モロ−/ガイ・トロスパ− 撮影:ハロルド・ロッソン 音楽:アドルフ・ドイッチュ 出演:ジェ−ムズ・スチュワ−ト/ジュ−ン・アリソン/フランク・モ−ガン/アグネス・ム−アヘッド
テキサス州の片田舎の草野球の投手が、酒で道を誤って浮浪者同然になった元職業野球の一流選手に認められ、猛特訓の末にシカゴ・ホワイトソックスへ入団を許されて輝かしい戦績をあげるが、趣味のウサギ狩りで自分の暴発弾を脚に受け、義足となる。しかし、不屈の闘志と妻の献身的な愛に助けられ、みごとにカムバック。招待されたオ−ルスタ−戦で驚異の勝利をつかむ。これは実在した義足投手モンティ・ストラットンの伝記の映画化。スポ−ツ映画に見えるが本質は夫婦の愛情ドラマで、「グレン・ミラ−物語」に先立つJ・スチュワ−トとJ・アリソンの好演が感動を呼ぶ。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎独断を承知で言うのだが、アメリカ映画の母親像のベスト・スリ−に、この映画の母親役のアグネス・ム−アヘッドという女優さんは入ると思う。他の二人の母親は「ヨ−ク軍曹」のマ−ガレット・ウイッチャリ−と「怒りの葡萄」のジェ−ン・ダ−ウェルである。ダ−ウェルには大地に根ざした肝っ玉があり、ウイッチャリ−には胆知があり、ム−アヘッドにはユ−モアがある。この三人に共通するのは農婦であるということなのだが、アメリカの開拓者精神というものはこうした母親像にこそ体現されているのではなかろうか。その精神をエセル(アリソン)も受け継いでいるからこそ、義足となった夫を助けてカムバックさせることが出来たのだろう。アメリカ映画の良さをたっぷりと味あわせてくれる作品である。呑気呆亭