4月18日(木)「港のマリ−」

「港のマリ−」('49・仏)監督:マルセル・カルネ 撮影:アンリ・アルカン 音楽:ジョセフ・コズマ 出演:ジャン・ギャバン/ニコ−ル・ク−ルセル/クロ−ド・ロマン
★「霧の波止場」のマルセル・カルネが「夜の門」に次いで監督した一九四九年度作品。「モソパルナスの夜」のジョルジュ・シムノンの小説から、カルネと「密告」のルイ・シャヴァンスが脚色し、リブモン・ドセエニュが台詞を書いたもので、微妙な男女関係から心理のリアリズムを衝いた作品。撮影は「アンナ・カレニナ」のアンリ・アルカン、音楽は「火の接吻」のジョゼフ・コスマ、装置は最近「愛人ジュリエット」でもカルネに協力しているアレクサンドル・トローネとA・カプリエが担当する。主演は「鉄格子の彼方」のジャン・ギャバンと、我国初登場のニコール・クールセル(七月のランデヴウ)で、他に「獣人」のブランシェット・ブリュノワとキャレット、クロード・ロマン、ルイ・セニエ、ジャーヌ・マルカン・ルネ・ブランカールらが助演する。
若い娘に振り回される中年男のとまどいぶりをギャバンが好演。港町の描写も歯切れ良く、映画の妙味を堪能できる。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎マリ−を演じたニコ−ル・ク−ルセルがエキセントリックなオンナを奇跡的な好演で造形していた。そのオンナに終始振り回される初老のオトコをギャバンが演じ、二人の台詞と表情のやりとりが面白く、彼らの周囲の人々の描写もいかにもフランス映画らしくて楽しめたのだが、ラストですべてがぶち壊しになってしまった。一緒に観ていた女性の口から“エエ−ッ、これってないよね!”という言葉が出たほどに、カルネにしては甘いご都合主義の結末(オトコとオンナが結ばれる)になってしまったのだった。呑気呆亭