4月17日(水)「ハムレット」

ハムレット」('48・英)監督・主演:ロ−レンス・オリヴィエ 原作:ウイリアム・シェ−クスピア 撮影:デスモンド・ディキンソン 音楽:ウイリアム・ヴォルトン 出演:ジ−ン・シモンズ/ベイジル・シドニ−
★「ヘンリィ五世」の成功に続いてL・オリヴィエが作り上げたシェークスピア映画の2作目。カラー撮影で歴史絵巻の様な華麗さを持っていた前作に対し、今回はモノクロによる銅板画のような渋みを持った撮影で、ハムレットの悲劇を真正面から描いている。ロジャー・ファーズによるエルシノア城のセットが見事で、オフィーリアの水死する小川の畔を除く全てのシーンが、この城内で撮影された。その巨大で薄暗い空間がハムレットの心象世界を浮き彫りにし、映画のムードを盛り上げるのに一役買っている。カメラワークも華麗で特に“生か死か”の場面でのめまいを起こしているかの様なパンがハムレットの動揺を表すのに大きな効果を上げている。又、オフィーリア役のJ・シモンズの初々しい演技も印象的で、彼女はこの役によりヴェネチア映画祭で女優賞を獲得した。<allcinema>

◎そもそもシェ−クスピア原作のドラマの意図がよく分からない。父親の亡霊に悩まされて支離滅裂となるこのハムレットなる青年にどうにも同情出来ないのだ。クロ−デイアスがハムレットの疑いどおり兄を殺して王座を簒奪したのであったなら、早めにハムレットなどは殺してしまえば良いので、そんな思いで見ているのでクライマックスに至るまでのゴチャゴチャした展開が耐えられなかった。そんな訳で、オフィーリア役のシモンズがヴェネチア映画祭で女優賞を獲得したというが、ちっとも哀れでも美しくも思えず、従って入水するシ−ンにも同情出来なかった。漸くクライマックスの剣劇シ−ンに至ってワクワクさせてもらったが、実に長くて退屈な映画であった。だが、セットと撮影はさすがに素晴らしかった。呑気呆亭