3月27日(水)「妻の心」

「妻の心」('56・東宝)監督:成瀬巳喜男 脚本:井手俊郎 撮影:玉井正夫 音楽:斎藤一郎 出演:小林桂樹/高峰秀子/三船敏郎/杉葉子/三好栄子/千秋実/中北千枝子
★信二は旧家の次男で家業を継いでいた。そこへ突然、東京に出ていた長男の善一が家族を伴って帰郷する。信二と妻の喜代子は店の空き地に喫茶店を開こうと準備を進めていた。喜代子は親友の兄で銀行員の健吉と、開店資金の融資のことでしばしば会うようになる。まとまった金が入った丁度そのころ、善一が実母に商売を始めるから金を貸してほしいと言い出した。人のいい信二が金を渡すと、善一は間もなく姿を消してしまう。信二は芸者と温泉で外泊、喜代子は健吉と頻繁に会うようになっており、夫婦の間には深い溝ができていた。<allcinema>

◎長男善一役の千秋実とその妻の役の中北千枝子がはまり役。千秋のこそこそとしながら変にふてぶてしい存在感と、中北のいつもながらの奇っ怪な存在感が楽しめる。高峰の夫信二役の小林桂樹はまだ後年の軽妙さを見せていない。高峰は成瀬と組んだにしてはいつもの高峰らしい危うい存在感を発揮していない。成瀬の演出も凡庸で、やたらにフェ−ドアウトを多用するのが気になった。呑気呆亭