3月8日(金)「落日の決闘」

「落日の決闘」('46・米)監督:スチュワ−ト・ギルモア 原作:オ−エン・ウイスタ− 脚本:フランセス・グッドリッチ/アルバ−ト・ハケット/エドワ−ド・E・バラモアJr 撮影:ハリ−・ハレンバ−ガ− 音楽:ダニエル・アンフィテアトロフ 出演:ジョエル・マクリ−/バ−バラ・ブリトン/ブライアン・ドンレビ−
★東部からやって来た女教師(B・ブリトン)と牧童ヴァージニアン(J・マクリー)の恋を主軸に、牛泥棒の悪漢(B・ドンレヴィ)との因縁の対決を描いたオーウェン・ウィスターの西部小説『ヴァージニアン』の'23年、'29年に次ぐ3度目の映画化。金欲しさに牛泥棒に加わった親友(S・タフツ)をも縛り首ににせざるを得ないという、法律が無い故に自らの掟に従うしかない主人公の苦悩が切ない。アクション色は濃くないが、しっかりした話で見せる良質のウェスタン。
<allcinema>

ブライアン・ドンレヴィ、悪漢という形容がこれほど似合う俳優さんはいないだろう。正義漢のジョエル・マクリ−との「落日の決闘」でも、今一歩で憎っくきヴァ−ジニアンをやっつけることが出来たのに、不運にも倒されてしまったのだった。「砂塵」のときにもスチュワ−トを狙ったのにデイ−トリヒに邪魔されたりして、つくづくツイテない悪漢である。黒づくめの衣装が好い。「シェ−ン」のJ・パランスを先取りしている。背が低いので余り強そうではないし、悪漢なのに悪らつではなく、卑怯なことも好まない。“陽が沈むまでに町を出ろ”とヴァ−ジニアンに宣告して、町並を巡っての決闘と相成るのだが、これって何処かで見たようなと考えて、そうか「腰抜け二挺拳銃」の決闘もこんなやりかただったと思い当たったのだった。町のメインストリ−トで互いに向かい合っての決闘なんてものは、映画が作った嘘だったのではないだろうか?それにしても「悪漢」も「正義漢」も今では死語か。呑気呆亭