3月7日(木)「邪魔者は殺せ」

「邪魔者は殺せ」('47・英)監督:キャロル・リ−ド 原作:F・L・グリ−ン 撮影:ロバ−ト・クラスカ− 出演:ジェ−ムズ・メイスン/キャサリン・ライアン/ロバ−ト・ニュ−トン
★キャロル・リ−ド監督の名を世界的に知らしめた秀作。アイルランド独立運動の闘士が、政治資金を強奪中に重傷を負う。警察に追われる彼をなんとか助けようとする仲間たち…。夜の街の陰影を映し出すカメラが抜群。巧妙な演出テクニックを駆使した最高のサスペンス・ドラマだ。原題は「ODD MAN OUT」(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎爆破事件で収監されていた刑務所から脱獄したばかりで、体力的な衰えを指摘されながら無理な現金強奪計画を実行したばかりに、殺人を犯し自らも重傷を負って街をさまようジョニ−(メイスン)。冒頭にリ−ドは“この作品は秘密結社の活動を描こうとしたものではない…”と断ってはいるが、組織のリ−ダ−としての資質に欠けるジョニ−の杜撰な計画と無謀な行動の間抜け(ODD)さが鼻に付いて、素晴らしい夜間撮影の映像に感心しながらも素直に映画を楽しむことが出来なかった。それにしてもこの邦題は戴けない。確かにジョニ−は組織にとって「邪魔者」になってしまったのだが、彼に出会った町の人々は大半は何とか彼を助けようとしたのであって、消(殺)そうとした訳ではなかった。付けるとすれば「厄介者」か。呑気呆亭