2月23日(土)「靴みがき」

靴みがき」('46・伊)監督・脚本:ヴィットリオ・デ・シ−カ 原作・脚本:チェザ−レ・サバッティ−ニ 撮影:アンキ−ゼ・ブリッツイ 出演:リナルド・スモルド−ニ/フランコインテルレンギ/アニエロ・メレ
★デ・シーカ監督の同じC・ザバッティーニ脚本による「自転車泥棒」に先立つ、戦後イタリアのどん底を力強く描いた作品。二人の靴みがきの少年を通じ、占領下の日々をアグレッシブに立ち回ろうとする人々の生命力を見据えて、悲劇的な結末ではあるが、それは決して後ろ向きのものではない。パスクァーレとジュゼッペは、貸し馬屋の馬を買い取ることが目標。靴みがきだけでなく、物資の横流しや女占い師を騙すのを手伝って得た金で、念願の馬を買って乗り回すが、翌日、警官を連れた占い師に見つかり補導される。が、彼女がジュゼッペの兄たちに奪われた額は二人の聞かされていた額を遥かに上回り、彼らは拘置所生活を送る事になる。約束通り、取り調べにも口を割らずにいた二人だったが、やがて、ジュゼッペが拷問を受けていると思い込んだパスクァーレが供述してしまい、二人の間にひびが入った…。<allcinema>

◎この馬というものがパスクァーレとジュゼッペという少年たちにとってどのような象徴的な意味を持つのだろうか?現実的には乗り物としては生活の環境からしてそれほど意味がないし、飼うための経費もバカにならない。その馬のために無理な金の稼ぎ方をして少年院に入らなければならなくなる。前半の靴みがきの少年群の描き方は生き生きとして精彩があるが、大人たちにしてやられる後半の少年院のシ−クエンスはリアルであるとは思えなかった。同じ少年院というテ−マを扱った'61年製作の羽仁進の作品「不良少年」を見た時の衝撃をつい思い出してしまったのだった。呑気呆亭