2月22日(金)「白昼の決闘」

白昼の決闘」('46・米)「白昼の決闘」監督:キング・ヴィダ− 撮影:リ−・ガ−ムス/レイ・レナハン/ハロルド・ロッスン 音楽:ディミトリ・ティオムキン 出演:グレゴリ−・ペック/ジョゼフ・コットン/ジェニファ−・ジョ−ンズ/ライオネル・バリモア/リリアン・ギッシュ/ハリ−・ケリ−
★「風と共に去りぬ」の大プロデュ−サ−、セルズニックが、当時としては空前の製作費(600万ドル)を投じた大作。舞台は南北戦争終結後のテキサス。大牧場主のもとに引き取られたインディアンとの混血娘パ−ルをめぐる兄弟の愛と確執を中心に、夫婦、親子の対立、鉄道利権などをめぐる資本家と牧場主の争いが、巨大なスケ−ルの中に浮き彫りにされる。ペック、コットン、ジョ−ンズをはじめとするビッグ・スタ−の共演、リ−・ガ−ムスほかの秀逸な撮影、ティオムキンの音楽などに加え、ヴィダ−の演出もすこぶるエネルギッシュで叙事詩風の格調を見せ、この雄大な西部ドラマをうたい上げた。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎グレゴリ−・ペックという役者さんの演じてきた役柄を一言で云えば「言い訳しない男」ということだろう。それを一番際どく表したのが「勇者のみ」のランス大尉だった。辺境の砦を守るために騎兵隊中の死んでも構わぬ厄介者たちを引き連れて、前からばかりでなく後ろからの銃弾も警戒しなければならぬ立場に身を置きながら、一切己の胸中を明かそうとしない頑固ぶりには、見ていてやきもきしたものだった。
そんなペックの履歴にあってはこの映画の役柄は異色である。実によくしゃべり、歌まで唄って、己の欲望を律しようとはあえてしない野性児を気持ちよさげに演じている。ジョ−ンズもコットンも適役で、これは西部の雄大な景色をバックに、三組の宿命的な男女の悲恋を腰の据わった演出と映像で描き切った傑作である。呑気呆亭