2月19日(火)「我等の生涯の最良の年」

「我等の生涯の最良の年」('46・米)監督:ウイリアム・ワイラ− 原作:マッキンレ−・カンタ− 脚本:ロバ−ト・E・シャ−ウッド 撮影:グレッグ・ト−ランド 音楽:ヒュ−ゴ−・フリ−ドホ−ファ− 出演:フレデリック・マ−チ/マ−ナ・ロイ/テレサ・ライト/ダナ・アンドリュ−ス/バ−ジニア・メイヨ/ハロルド・ラッセル/キャシ−・オドンネル
★同じ町に帰還した中年銀行員アル(マ−チ)、雑貨屋勤務のフレッド(アンドリュ−ス)、戦場で両腕を失い鉄の義手をはめているホ−マ−(ラッセル)の3人の家族や恋人たちをめぐるドラマで、第二次世界大戦から帰還した軍人の社会復帰を描いたゴ−ルドウインの大作。戦勝国アメリカが、戦後に抱えた苦悩を、勇気と希望を謳歌して描いた国民的な作品で、アカデミ−賞を8部門で受賞、H・ラッセルは助演男優賞の他に特別賞まで受賞している。ワイラ−の手堅い演出力が長さを感じさせない。ホ−マ−の恋人を演ずるキャシ−・オドンネルも、清楚な感じで印象的。編集はすべてのゴ−ルドウイン映画を手掛けたダニエル・マンデル。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎戦争から帰還した兵士の社会復帰の難しさは、わが国でも問題になったらしい。兵士を受け入れる側がその苦労を癒すために気を使って、温かな環境を用意して迎えると、その環境の激変に却って耐えられず、体調を崩したり精神を病んだしして死に至ることが多かったという。私の知る武道家はそれを知る故に、帰還した直後から荒地の開拓作業に従事したと言っていた。この映画の三人のエピソ−ドはそれなりに描かれているが、ベトナム帰還兵の戦後を描いた「ランボ−」ほどの社会性はなく、やはりホ−ムドラマの範囲を出ない作品であった。呑気呆亭