1月16日(水)「男はつらいよ・望郷篇」

男はつらいよ・望郷篇」('70・松竹)監督・脚本:山田洋次 脚本:宮崎晃 撮影:高羽哲夫 音楽:山本直純 出演:渥美清/倍賞千恵子/前田吟/森川信/三崎千恵子/長山藍子/井川比佐志/松山省二/津坂匡章
★1作、2作とメガホンを取った山田洋次が久々に復帰。TV版でさくら役だった長山藍子が美しい美容師で登場。かつて世話になったやくざの親分を訪ねた寅次郎は、今や落ちぶれた親分をみて、義理のすたれた任侠道に失望し、やくざ渡世から足を洗おうと決意する。さっそく浦安の豆腐屋に就職し、順調に行くかに見えたが、店の娘(長山)に恋をし…。
(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎かつて世話になった親分を北海道に見舞った寅と登(津坂)が、その親分が余所の女に産ませた息子に逢いたいという依頼を受け、機関手助手をしている息子(松山)を訪ねるという話が前半。当時まだ元気に走っていたD51の雄姿をたっぷりと見させてくれる。その機関手助手の汗と油と埃にまみれて働く姿をみて衝撃を受けた寅が、一大決心をしてカタギになろうとするのだが、お決まりの失恋と挫折を経てまた旅に出るというお話。久々に監督に復帰した山田洋次はTV版のさくら(長山)と博(井川)を出演させたり、背景のあちこちに蒸気機関車を走らせて、サ−ビスにこれ務める。しかし、この作での寅さんの失恋は、長山藍子という何処か鈍感で冷たい性格をみせてしまう俳優を起用したことで、笑うに笑えぬ無残なモノとなってしまった。呑気呆亭