12月26日(水)「丹下左膳」

丹下左膳」('53・大映京都)監督:マキノ雅弘 原作:林不忘 脚本:伊藤大輔/柳川真一 撮影:竹村康和 音楽:鈴木静一 出演:大河内伝次郎/水戸光子/山本富士子/沢村国太郎
★戦前、伊藤大輔監督の作品などで、いくたびか丹下左膳に扮し、当たり役とした大河内伝次郎が、戦後初めて左膳を演じる大映の時代劇シリ−ズ。大河内伝次郎マキノ雅弘監督のコンビによる“丹下左膳”。江戸・小野塚鉄斎のもとにある名刀乾雲・坤竜の二振りを、刀剣蒐集狂・饗庭候の命をうけた丹下左膳が、奪い取る。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎饗庭藩の立派な侍であった丹下左膳が主命を受けての旅立ちから、一転、片目片腕の異様な姿の浪人と成るまでには様々なドラマが有ったのであろうに、その間の説明が一切ないために、乾雲・坤竜を廻っての闘争が無理やりこじつけた物語になってしまう。闘争の相手方の生若い剣客がちっとも強そうでないので、増々大河内左膳の悲壮ぶりだけが空回りする結果になってしまった。唯一の取得はお藤を演じた水戸光子の好演であろう。呑気呆亭