12月22日(土)「ヨ−ク軍曹」

「ヨ−ク軍曹」('41・米)監督:ハワ−ド・ホ−クス 脚本:ハワ−ド・コッチ/ジョン・ヒュ−ストン 撮影:ソ−ル・ポリト 出演:ゲイリ−・ク−パ−/ウォルタ−・ブレナン/ジョ−ン・レスリ−/マ−ガレット・ウイッチャリ−
★実在の第一次世界大戦の英雄ヨ−ク軍曹の伝記映画。田舎町に生まれたヨ−クは酒飲みの無頼漢だったが、ふとしたことから神の道を知り改心。しかし、戦争と宗教の矛盾にヨ−クは苦悩する…。カッコいいけどちょっとユ−モラスな主人公をみごと演じたG・ク−パ−はこの作品でオスカ−を受賞。

◎以前ジョン・フォ-ドの「わが谷は緑なりき」についても書いたことだが、時間というモノの試練を経て生き残ってきた映画が奇跡的に「神話化」することがあるようだ。この映画もその一本ではないだろうか。石くれだらけの荒れ地に挑み耕す不屈の働き者だが、貧しさの鬱憤を酒で紛らわすことしか知らない暴れ者の息子を見守る母(マ−ガレット・ウイッチャリ−)の、大地に根を張って生きる者のみが持つ胆力と慈しみを合わせ持つ眼差しの力によって、無頼漢となる事から救われている。そしてその暴れ者に神の顕在を説く説教師(ウォルタ−・ブレナン)と、文字通りの雷の一撃によって迷える羊(狼?)の改心が成就される。そして、彼の脇には常に恋人(ジョ−ン・レスリ−)の微笑みが有る。その母と師と配偶者の見守りの力によって、我等がノッポのスサノオは戦の場から無事「英雄」として帰還するのである。呑気呆亭