11月20日(木)「ミニヴァ−夫人」

「ミニヴァ−夫人」('42・米)監督:ウィリアム・ワイラ− 原作:ジャン・ストル−ガ− 脚本:ア−サ−・ウィンペリス 撮影:ジョゼフ・ルッテンバ−グ 出演:グリア・ガ−スン/ウォルタ−・ピジョン/テラサ・ライト/ディム・メイ・ウィティ/リチャ−ド・ニ−
★第二次大戦中、ロンドン郊外の小さな町で夫と3人の子供たちと幸福な生活をしていたミニヴァ−夫人。美しく聡明な英国女性の鏡ともいわれる夫人が、戦争の惨禍に巻き込まれながら生き抜いていく様子を描くヒュ−マン・ドラマ。空襲によって引き起こされる業火、周囲の人々の死、そんな悲惨な状況を目のあたりにしながらも、秩序と明るさを失わずにけなげに気丈に生きる英国のオ−ディナリ−・ピ−プルたち。そんなヒュ−マニティあふれる物語を名匠W・ワイラ−が演出する。故チャ−チル首相に“この映画は戦時の英国民を救った”と言わしめた珠玉の名作だ。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎絵にかいたような幸福な中流階級の家庭の描写から始まって、ドイツへの宣戦布告、この小さな村への空襲と、次第に緊迫感を盛り上げて行く演出はさすがにワイラ−である。ロンドンへの空襲を防空壕から出て夫婦で眺める場面で、以前に地区の防衛責任者から煙草の火を注意されていた夫が、パイプを逆さまにした喫うシ−ンの細かな演出にもワイラ−らしさが現れていた。演技者の中では、地元の貴族の末裔の老婦人を演ずるディム・メイ・ウィティの英国婦人らしい頑固さとユ−モアと威厳を見事に体現した演技が、この映画に一本の芯を通しているように感じたのだった。呑気呆亭