12月8日(土)「誰がために鐘は鳴る」

誰がために鐘は鳴る」('42・米)監督:サム・ウッド 原作:ア−ネスト・ヘミングウエイ 脚本:ダドリ−・ニコルズ 撮影:レイ・レナハン/カティナ・パクシノウ 出演:ゲ−リ−・ク−パ−/イングリット・バ−グマン/エイキム・タミロフ/カティナ・パクシノウ
★スペイン動乱を舞台に、ゲリラ活動に参加したアメリカ人の心情を描いた悲恋ドラマ。政府の軍事輸送を阻止するため、鉄橋の爆破計画が練られた。作戦に参加したアメリカ人ロバートは、ジプシーのゲリラに協力を求める。そこでロバートは、美しい娘マリアと出会い、二人は激しく惹かれ合うが…。E・ヘミングウェイの同名小説を映画化。スペクタクルとロマンス--映画の魅力が最大限に発揮された傑作。クーパーは凛々しく、バーグマンは美しい。98年に35分を追加したビデオ「デジタル・ニューマスター特別復元版」がリリースされた。

◎列車を爆破したロバ−ト(ク−パ−)とスペイン人のゲリラの男が、すぐさま政府軍に追われてゲリラの男が撃たれ、約束だからとロバ−トに射殺してくれるように願う場面のプロロ−グで始まって、やけに政府軍の来るのが速いし、退却路を確保した上での爆破計画のはずなのに追込まれるとはドジな作戦だなとは思いながらも、これから始まるであろうゲリラ戦への興味が大いに高まったのだが、可愛いマリア(バ−グマン)が瞳をキラキラさせて登場するに及んで、陳腐な恋愛映画になってしまった。ゲリラの頭目の複雑な性格や女頭目の果断さや、ロバ−トに付き従う老年のゲリラ(敵方に付いた甥を殺さねばならなくなる)など、ロバ−トの闘いに加わった経緯なども併せて書き込めば、素晴らしい作品になったであろうに、惜しいことでありました。無理からぬことだが、恐らく監督のサム・ウッドも撮影のレナハンもついついマリアの瞳キラキラに見とれてアップで撮りにいってしまったのだろう。呑気呆亭