11月22日(木)「教授と美女」

教授と美女」('41・米)監督:ハワ−ド・ホ−クス 脚本:チャ−ルズ・ブラケット/ビリ−・ワイルダ− 撮影:グレッグ・ト−ランド 音楽:アルフレッド・ニュ−マン 出演:ゲ−リ−・ク−パ−/バ−バラ・スタンウイック/オスカ−・ホモルカ/ヘンリ−・トラバ−ス
★H・ホークスがブラケットとワイルダーの名コンビの脚本を映画化したゴールドウィン作品。百科事典編纂の為、パトロンの提供する館に何年も缶詰になっている8人の教授達がいる。最年少の言語学者(クーパー)も男盛りと言うのに、余りに世間から隔絶された暮らしで、研究中の俗語の知識も新聞配達の少年から得る有様。当然女性とも無縁だが、そんな彼の前に格好の調査対象、下町訛り丸出しのストリップ・ダンサー(スタンウィック)が現れ、彼は館に彼女を招待する。情夫のギャングのボスが犯した殺人事件の証人喚問されるのを逃れられると、彼女は喜んでやって来るのだが……。ホークスらしいキビキビとたくましい演出、O・ホモルカをはじめとする老教授達のストリッパーを迎え入れる前時代的紳士振り、スラングの可笑し味を活かした言葉遊びたっぷりの脚本(これは字幕では半分も解らないが)、いずれも見事だが、それ以上にスタンウィックが光り輝く。戦後、同じくホークスによりミュージカル風にリメイクされたのが、D・ケイ主演の「ヒット・パレード」だ。<allcinema>

◎良い脚本(ブラケット&ワイルダ−)と巧みな演出(ホ−クス)と達者な演技陣とが揃うとこれほどに面白い映画が出来るのかと、最近のナンデモ有りのハリウッド映画に辟易した者の目には、モノクロの画面が却って鮮烈な驚きをもたらしたのだった。仮に、この脚本を使って当代一の監督が演出したとして、ク−パ−とスタンウイックに替わる主演の男女はいるかも知れないが、この七人の教授達(小人?)という大小凸凹珍無類の役者連を揃えることは今となっては絶対に不可能だろう。彼等一人ひとりの名前と専攻と過去と人柄を知るために、何度でも見直したいと思わせる作品である。呑気呆亭