11月6日(火)「コンドル」

「コンドル」('39・米)製作・原作・監督:ハワ−ド・ホ−クス 脚本:ジュ−ルス・ファ−スマン 撮影:ジョセフ・ウォ−カ− 音楽:モリス・W ・ストロフ 出演:ケイリ−・グラント/ジ−ン・ア−サ−/リチャ−ド・バ−セルメス/ト−マス・ミッチェル/リタ・ヘイワ−ス
★ニュ−ヨ−クのショウ・ガ−ル、ボニ−・リ−(ア−サ−)は巡業を終えての帰途、エクアドル国のバランカという小さな港に到着した。船待ち時間を潰すために、この町の小さな空港の傍らのバ−に立寄ったボニ−は、米人飛行家や船員たちの注目のまととなる。この空港はジェフ・カ−タ−(グラント)が支配人をしている定期郵便の空港だった。ここでの定期便の飛行機はアンデスの連山を越え、しばしば起こる濃霧や密雲を冒して飛ばねばならないので、極めて危険な飛行であったが…。陽気なパイロット達とすっかりうちとけたボニ−は、パイロット長でもあるジェフと親しくなろうと試みるのだが、彼はよそよそしい態度で冷たく彼女に接するのだった。そんな折り、ジェフの昔の恋人ジュデイ(ヘイワ−ス)が、悪い噂のあるパイロットであり彼女の夫でもある男マクフィアソン(バ−セルメス)とジェフの前に突然姿を現したことから、事態は複雑な様相を呈して行く…。DVDの解説より

◎製作・原作・監督を兼ねるハワ−ド・ホ−クスと脚本以下のスタッフと出演者たちの協働による、やや複雑だが見応えのある作品である。複雑なドラマに破たんを来さず、実に洒落たラスト(コインの賭け)まで持って行ったのは脚本と演出の手柄である。グラントもいつものダイコン振りが役柄に合って、石頭で男気がある主人公を奇跡的に演じ、ア−サ−も、気が強くて涙もろいオンナを可愛らしく演じた。特に彼女が、事故死したパイロットを悼んで地元のエクアドル人やジェフなどと共にピアノを弾いて合奏するシ−ンは、この作品の「生の歓びと死の悲しみ」というテ−マを巧みに表していて見応えがある。ミッチエル、バ−セルメスもお手の物の役柄を得て好演している。呑気呆亭