11月1日(水)「次郎長三国志・次郎長と石松」

次郎長三国志・次郎長と石松」('53・東宝)監督:マキノ雅弘 原作:村上元三 脚本:松浦建郎 構成:小国英雄 出演:小堀明男/森繁久彌/久慈あさみ/河津清三郎/小泉博
★この篇から久慈あさみの投げ節お仲が登場する。追分三五郎(小泉)と道連れになった森の石松は、投げ節お仲の妖艶な壺ふりにスッテンテンになる。一方、開帳中に役人に捕えられた次郎長一家は、牢内の横暴な牢名主をとっちめる。そんな折り、張子の虎三が義兄弟・大熊の危機を知らせる…。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎第一部終盤に登場していつの間にか次郎長一家の旅にくっついて来るようになった乞食坊主の法印大五郎のしつっこさと臭さに辟易した子分たちが、綱“いつまで付いて来るんだよう”鬼“親分こんなの子分にするんきゃ”とくさすのにメゲズ、“やな顔せんと、これでもヌカでみがいたら好い男になるがな、な、衣は汚のうても心は錦や、なんまんだぶ、なんまんだぶ”次“ははは、付いてくるんならしかたあんめェ”“それ見てみい、おおきに”
五番手は増川の清右衛門。女連れで二人のヤクザと斬り合いをしていた若い男に、次“おい、若えの、どうやら今の勝負はオメエっちに分が有ったようだな。二度の勝負は改めてやれ、赤鬼の金平親分にはオレから話をつけてやる、時と場所を決めて立会え、な”“やだな、せっかく俺の勝てる勝負だ、他人の口出しは無用だい”色々あって、連れた女のオヤジに子分にしてやってくれと頼まれて、次“とっつあん、ヤクザにするなんて良くねえよ…”オヤジの口添えで小生意気な清右衛門も子分になる。
六番手は森の石松。新町の河原、清右衛門のことでこじれた赤鬼の金平とのケンカの場に現れた石松。高見の見物をきめこむ。虎♪旅ゆけばあぁ、駿河の国にい茶の香り、流れも清き太田川、川の面に影宿し、秋葉神社の境内に産声上げし快男児、ご存じ森の石松は、腕が強くて度胸が良くて、生まれついてのお人好し、それを世間じゃ馬鹿という、馬鹿は死ななきゃあ直らない…♪次“おい、待てまてまて、旅の衆、オラア清水の次郎長ってモンだが、俺の子分たちゃあ新町河原でオメエさんにケンカを冷やかされて大変怒ってるらしいんだ。オイ、返答してくれ、な”石“カカカカカ・・・オイ、ククククク”次“ああ、オイオイオイ、急がなくていいよ、気長に聴いてやるからゆっくり名をなのれ”石“よし、街頭仁義ごめんなさんせ、手前生国と発しまするは三河にござんす。三河やな郡やな村にござんす。縁も持ちまして親分はやな郡森の源八と申します。手前もとはカタギ、気立てはいいが女に惚れるのが悪いクセ、金波銀波の遠州灘、男だてなら度胸ならオレの右に出るモノはねえ、親の意見も横に振り、マゲもいなせのヤクザとなり、ピリッと利いたワサビの気っぷ、惚れた女は星の数、情けにもろいが玉にキズ、他人呼んで遠州森の石松と申す、イキな、ふん、かかかか、エ−イ、イキなヤクザでござんす”と、仁義となるとドモらない石松だった。
七番手は投げ節のお仲。小川武一の賭場で壺振りをしているお仲を見かけて、次“お仲さん、お仲さんと云いやしたね。オイ、鬼吉壺振り代われ。お仲さん、一寸…”お仲“ごめんなすって”と席を立って次郎長と武一の前に出る。次“ま、ねぇお仲さん、次郎長はイカサマが嫌いでねえ…”お仲、ふっと笑って“見つかっちゃった”と悪びれない。”呑気呆亭