9月19日(水)「祇園囃子」

「祇園囃子」('53・大映京都)監督:溝口健二 原作:川口松太郎 脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 出演:木暮実千代/若尾文子/河津清三郎/進藤英太郎/浪花千栄子/菅井一郎
★溝口の得意とする花街を舞台とした作品で、前作「雨月物語」で脚本を担当した川口松太郎が原作を、依田義賢が脚本を担当している。
祇園では名の知れた勝気な芸者・美代春は舞妓志願に来た少女・栄子の熱心な頼みに負け舞妓に仕込むことを決心する。一年間栄子は芸事に励み、いよいよ舞妓として売り出す日がくる。栄子は現代っ子らしい振る舞いが評判となり、楠田という男に目をつけられるが……。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎ワタクシが物ごころついた頃には木暮実千代さんは既に大年増だった。若尾文子さんは大映の性典ものでデビュ−したという印象が強く、その印象が後々まで尾を引いていて、彼女の映画を観ることは特別な思いが有ったのだった。そのお二人の共演したこの映画を見て、木暮さんの艶っぽさと若尾さんの可愛らしさが京都の色街の佇まいの中にまるで絵画のような造形美で定着されていることに驚嘆した。画面の色調(モノクロではあるが)が登場人物たちの名演と相まってまるで絶品の懐石料理を味わっているかのような思いであった。呑気呆亭