8月31日(金)「平原児」

「平原児」('36・米)製作・監督:セシル・B・デミル 出演:ゲーリー・クーパ/ジーン・アーサー/ジェ−ムズ・エリソン
★ 西部劇大作の代表格として戦後も何度かリバイバルされているデミル作品で、「オペラハット」のコンビ、クーパーとアーサーがそれぞれ、ワイルド・ビル・ヒコックとカラミティ・ジェーンという伝説的ガンマンの半生を演じたのが好評で大ヒットした。その他、バッファロー・ビル(J・エリソン)、カスター将軍も登場し、さしずめ西部の“忠臣蔵”映画の趣き。さすがデミルといった所だが、全体に大味な所も彼らしい。もちろん、ヒコックとジェーンの秘めたるロマンスが、物語の核となる。可憐な男装束のアーサーは印象的で、まず一番の見もの。悪役のインディアンに、翌年デミルの娘婿になるA・クインが縁故採用で大抜擢。こういう、いい意味でのいい加減なウェスタンをもっと観てみたい。allcinema

◎いやはやお洒落なクーパーのワイルド・ビルである。冒頭の北軍兵士の制服姿、船上でのフォ−マルな服装、斥候としての鹿皮服、床屋で汚れた服を着替えてのガンマンとしての服装、等々、どんな格好をしてもカッコいい、まさにクーパーのための映画であった。銃杷を前に向けたスタイルの二挺拳銃の早撃ちもカッコよく、どのシーンを取っても西部劇ファンには堪えられない映画である。ラスト、カラミテイ・ジェーンが死んでしまったビルにキスをして云う、“拭かないのね…”の台詞には何度見ても泣かされる。呑気呆亭