8月11日「マルクス兄弟・オペラは踊る」

マルクス兄弟・オペラは踊る」('37・米)製作:ア−ビング・G・サルバ−グ 監督:サム・ウッド 出演:マルクス兄弟
★長くパラマウントで作品を発表してきたマルクス兄弟が興行的に低迷し、心機一転をはかってMGMの伝説的な名プロデュ−サ−、サルバ−グの下で製作した作品。それまでの4人組からゼッポが抜けて3人組となった。ところはイタリアのミラノ。ドリフウッドは大金持ちのクレイブ−ル未亡人に、ニュ−ヨ−クのオペラへの投資をすすめる。うまく口説いて、せしめた20万ドルで歌手を雇い、一路アメリカへ。密航したハ−ポ、チコをまじえての船上でのギャグの数々、ニュ−ヨ−クのオペラ舞台での大混乱がとてもおかしい。数ある彼等のコメディー中でも傑作としての誉れ高い一級品。(ぴあ・CINEMA CLUB)

チャップリンともキ−トンとも違うコメディをマルクス兄弟は創り上げた。これは、どこかヨ−ロッパの香りがするコメディで、ハ−ポの見事なピアノ演奏にも、チコの絶妙なハ−プの演奏にも、おふざけの裏に大変な素養を秘めていることが感じられる。'33年作の「我輩はカモである」の何のセンスも感じられない古びたギャグの連発から、よくもこれだけの傑作を作りだしたものだと感服する。プロデュ−サ−、サルバ−グの力もだが、監督サム・ウッドの力量も大きかったのではあるまいか。呑気呆亭