7月25日(水)「グランド・ホテル」

「グランド・ホテル」('32・米)監督:エドムンド・グ−ルディング 原作:ビッキ・バウム 出演:グレタ・ガルボ/ジョン・バリモア/ジョ−ン・クロフォ−ド/ウォ−レス・ビアリ−/ライオネル・バリモア
★限られた時間と場所にさまざまな人々を登場させる作劇法である“グランド・ホテル形式”の語源となった作品。当時のMGMの5大スタ−の共演が話題を呼んだ豪華版。
人気が凋落して無気力なロシアのバレリ−ナ(ガルボ)、男爵と称しているものの実は盗賊の男(J・バリモア)、生きるためなら何でもしようとする女性早記者(クロフォ−ド)、事業が危機に瀕している実業家(ビアリ−)、健康を害しこの世の名残に贅沢をしにきた男(M・バリモア)の5人が、ベルリンのグランド・ホテルで1日半のうちにさまざまな人生模様を繰り広げる。バウム原作小説をアメリカで舞台化した戯曲にもとづき映画化。(ぴあ・CINEMA CLUB)

ガルボの部屋に侵入して首尾よく真珠の首飾りを手に入れた男爵が、失意の余りに自殺をしようとしたガルボを助けるために隠れていたカ−テンの蔭から姿を現す。自殺を思いとどまらせるためとこの部屋に潜んでいたことの不審を晴らすためもあって、彼女に憧れる男を演じている内になんと彼女に恋をしてしまう。ガルボもまた彼を恋するようになって生きること踊ることの勇気を取り戻す。この二人のやりとりと変化して行く心の有り様をほとんどアップの繰り返しで演じぬいたガルボとJ・バリモアの力量に驚嘆せざるを得ない。男爵の死によってグランド・ホテルのウインナワルツに彩られた華麗な輪舞は終りを告げたのだった。呑気呆亭