7月24日(火)「暗黒街の顔役」

「暗黒街の顔役」('32・米)監督:ハワ−ド・ホ−クス 出演:ポ−ル・ムニ/ジョ−ジ・ラフト
★フィクションの形をとっているものの、そのエピソ−ドのほとんどが、アル・カポネにまつわる実話にもとづいている。'30年代、禁酒法下にあったシカゴ。大親分“ビッグ・ルイ”コステロの用心棒、トニ−・カモンテは、対立する大親分に買収されて、コステロを暗殺するが…。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎'31年にアル・カポネは脱税容疑で起訴され有罪判決を受けて収監される。この映画の公開が'32年であるということは、まさにその裁判の最中に撮影されていたということであろう。映画の冒頭にギャング団に対する当局の弱腰を指弾する言葉が掲げられているが、カポネが捕まっていたとはいえまだまだ暗黒街の勢力は侮れないものがあったであろうに、これほどにギャングたちの残虐さと愚かしさを描いた作品を作ってしまった製作者たちの勇気を思う。
職人監督:ハワ-ド・ホ−クスは、強烈な個性を発揮するトニ−・カモンテ(ポ−ル・ムニ)の傍らに、冷酷に拳銃を使うリナルド(ジョ−ジ・ラフト)と、文字を綴れない秘書というコミカルな役柄のアンジエロ(ヴィンス・バーネット=ラストの死にざまが泣ける!)を配して、殺伐とした物語に人間味という味付けを加えて、単なるギャング映画の枠を超えた作品に仕上げている。呑気呆亭