7月5日(木)「荒獅子=八荒飛龍剱」

「荒獅子=八荒飛龍剱」('38・日活京都)監督:松田定次 出演:嵐寛寿郎/月形龍之介/香川良介/大倉千代子/原駒子
★直参旗本の息子、岩瀬新十郎は、継母の生んだ義弟・小太郎との家督争いに嫌気がさして街にのさばる無頼の輩と徒党を組み行動していたことを父に知られ、勘当されることになる。しばらくして、町奉行となった父がある策略によって危機におち、小太郎が勾引される。その事を知った新十郎は、父と弟を救うために立ち上がる。DVD「日本名作劇場」の説明文から。

◎仕方のないことだがフイルムの保存状態が悪く、画像が不鮮明で台詞も聞き取りにくい。新十郎の仲間の無頼の浪人たちの江戸の頃の悪たれたちの生態はさもあろうという描き方が面白い。勘当された新十郎がヤクザにはならず、長屋に住まいして弓矢の製造という職によって日々の糧を得ているのが、類型的でなくて面白く、その作りかけの弓を使っての敵対するヤクザたちとの立ち回りが鮮やかで、さすがにアラカンと思わせる。浪人たちがたむろする酒場のセットが中々良くて、その酒場にふらりと現れる女(大倉千代子?)がしなやかな立ち居で、妙な色気があった。新十郎を蔭ながら援助する目明しを演じる香川良介はいつもながらいい味を出していた。月形龍之介は苦悩する父を演じるので活躍の場がなく損をしていた。呑気呆亭