5月30日(水)「メトロポリス」

メトロポリス」('26・独)監督:フリッツ・ラング 出演:ブリギッテ・ヘルム/アルフレ−ト・ア−ベル/グスタフ・フレ−リッヒ
★'26年、ドイツのウ−ファ−社が製作した、サイレント時代の後期を飾るSF大作。2026年の大都会メトロポリスを舞台に、ひと握りの支配者と彼らに抑圧される民衆の姿を対照的に描く。現代を予見した独創的なアイデア、スケ−ルの大きさ、みごとな特殊撮影と、すべての点で抜きんでたラング監督の最高傑作。'84年にジョルジオ・モロダ−によって完成された新版は各シ−ンのイメ−ジに合わせて色と音楽を施し、ファッショネブルでより鮮烈な作品となっている。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎その新版で見たのだが、確かに今見ても色あせない鮮烈でスケ−ルの大きな傑作であった。特に主人公の娘とその娘に似せて作られた人造人間の二役を演じたブリギッテ・ヘルムの怪演には度肝を抜かれた。大団円の最終章に付けられた曲の歌詞が今の時代にピッタリなので引用してみる。

♪自由というオリは狭まるばかり ♪四方の壁に押しつぶされそう
♪自由というオリは裏切りばかり ♪損だとわかるとすぐに寝返る
♪疑惑を感じたところで八方ふさがりだ 
♪出口もなければ入り口もない ♪鍵をのみこんでしまったから
♪自由というオリ、それが僕らの牢獄だ
♪この世界を作ったのは僕らさ ♪これが僕らの世界だ

そして、その主人公の娘が主人公のメトロポリスの支配者の息子に言った言葉。

「Be their Mediator Freder! Without the Heart there can be no understanding between the Hands and the Mind」

「愛は世界を救う!」式の終り方だと閉口だなと思っていたら、かなり哲学的な終わり方だったのでホッとしたのだった。呑気呆亭