11月14日(土)「ナビイの恋」

「ナビイの恋」('99・東京テアトル)監督・脚本:中江裕司 脚本:中江素子 美術:真喜屋力 撮影:高間賢治 音楽:磯田健一郎 出演:平良とみ/西田尚美/村上淳/登川誠仁/平良進/アシュレイ・マックアイザック/嘉手刈林昌
沖縄本島から少し離れた粟国島。奈々子は都会の喧騒に疲れて久しぶりに帰ってきた。島までの小さな船には一人旅の青年・福之助と伊達な白スーツの老紳士が同乗していた。そしてその老紳士こそ、60年前に奈々子の祖母ナビィが最も愛していた人だった……。物語はふたつの三角関係を軸に、沖縄特有の文化やジャンルを越えた音楽と共に老若男女の恋の思いを夢とも現実とも取れるファンタジーとして描いている。監督は『パイナップルツアーズ』『パイパティローマ』の俊英・中江裕司
 ナビィを演じるのは、後にNHKの朝の連続テレビ小説ちゅらさん」の好演もあり、いまやすっかり全国区の人気を獲得している平良とみ。一方、オジィ役の登川誠仁さんは三線の第一人者で、数多くの一流ミュージシャンを輩出している沖縄にあっても特別なカリスマ的存在。そのキャラクターに惚れ込んだ中江監督が、シブる登川さんをなんとか口説き落として出演に漕ぎ着けた。そんな、まさに沖縄を代表するオジィとオバァの顔合わせが実現したという意味でもなんともうれしい一本。<allcinema>

◎ラストのタイトルロ−ルに挿入歌の一覧が掲げられている。「ひょっこりひょうたん島」「下千鳥(登川誠仁)」「海ぬチンポ−ラ(登川)」「じゅりぐわぁ小唄(嘉手刈林昌)」「ザ・スタ−・スパングルド・バナ−(三線登川)」「六調節(山里勇吉)」「クレイグニッシュ・ヒルズ(ケルト民謡)マックアイザック」「ケルティック・リ−ル(ケルト民謡)マックアイザック」「トウバラ−マ(八重山民謡)マックアイザック」「国領ジント−ヨ(登川)」「月ぬ美しや(八重山)山里」「むんじゅる節(照喜名朝一)」「夏の扉西田尚美)」「ロンドンデリ−の歌(アイルランド民謡)山里/マックアイザック」「ハバネラ(カルメン〜恋は野の鳥)兼島麗子」「アッチャメ−小(登川)」
老若男女、ふたつの恋の三角関係のあれこれの展開に、これだけの歌がちりばめられていて面白くないわけがない。平良とみの可愛らしさはもちろんだが、沖縄三線の第一人者といわれる登川誠仁の素人とは思えない軽妙なアドリブに富んだ演技こそが、この映画を成功させた第一の功であったろう。呑気呆亭