10月21日(水)「ホテル・ニュ−ハンプシャ−」

「ホテル・ニュ−ハンプシャ−」('84・米)監督・脚本:トニ−・リチャ−ドソン 原作:ジョン・ア−ヴィング 撮影:デビッド・ワトソン 音楽:レイモンド・レパ−ド 出演:ジョデイ・フォスタ−/ロブ・ロウ/ボ−・ブリッジス/ナスタ−シャ・キンスキ−/ポ−ル・マクレ−ン/リサ・ペインズ
現代文学の鬼才ア−ヴィングのベストセラ−の映画化。幻想と現実があい乱れるべり−一家の不思議な体験物語だ。夢想家ベリ−は、学生時代からの念願叶ってホテル経営を始める。その名は“ホテル・ニュ−ハンプシャ−”。最愛の妻と、フラニ−やジョンら5人の子供も彼を応援。だが、フラニ−は強姦され、祖父は急死、経営も御難続きだ。そこで一家は心機一転、オ−ストラリアでの再出発を図る。だがその矢先、飛行機が墜落。乗っていた妻と末弟を失う・・・。本当は悲しい物語なのになぜかハッピ−な気分になるのは、ベリ−一家が、常に生きる希望と喜びにあふれているからだ。生と死、青春と晩年がみごとに調和した独特な空間を作り出す、映像文学の傑作。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎読んではいないがこんな原作がベストセラ−になる米国とはじつに雑駁な文化の国であるようだ。雑多な要素を乱雑に詰め込むのが前衛的だと思いこんだのか、まったくユ−モアのかけらも感じられないドラマには、消化不良の不快感しか感じられない。その原作を正確に映画化したのかそれとも読み違えたのか、主人公である一家の父親・夢想家ベリ−を演じたボ−・ブリッジスの陰がやたらに薄くて、過度にエロテイックなフォスタ−と何も出来ない弟のロウにばかり画面を割いて、セックスのことしか考えないのかと思うほどに全編陋劣な物語が展開される。何のためにこんな映画を作ったのか。噴飯物のシロモノである。呑気呆亭