7月29日(水)「フランス軍中尉の女」

フランス軍中尉の女」('81・英)監督:カレル・ライス 原作:ジョン・ファ−ルズ 脚本:ハロルド・ピンタ− 撮影:フレディ・フランシス 音楽:カ−ル・デイビス 出演:メリル・ストリープ/ジェレミ−・アイアンズ/リンジ−・バクスタ−
★イギリスの現代作家ファ−ルズの同名ベストセラ−の映画化。ある港町で、アナとマイク共演の「フランス軍中尉の女」と題する映画の撮影が行われている。19世紀の中ごろ、フランス人の中尉と愛し合い捨てられたがゆえに、人々から娼婦呼ばわりされる女と、婚約者がありながら彼女に恋する若い考古学者の物語である。一方、実生活でも、アナとマイクは不倫の仲。撮影が進むうちに、映画の中の男女の関係が次第に現実のふたりにオ−バ−・ラップして・・・。ストリ−プとアイアンズがともに一人二役を力演。時間と空間を巧みに切り替え、ありきたりの愛欲のドラマをみごとに芸術作品として映像化した、“映画中映画”の傑作。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎褐色のマントを被って大波の打ち寄せる埠頭の突端に立つ女、振り返ったその顔を見た途端に男は宿命の恋に堕ちる。「ディアハンタ−」で出会ったメリル・ストリープという女優さんの妖しい魅力にノックアウトされたのは実にこの作品であった。本音を言えばこんなややこしい筋立てにせずに「フランス軍中尉の女」だけのドラマであったら、もっと感情移入して物語を愉しむことが出来ただろうにと思ったことだった。呑気呆亭