7月1日(水)「歌っているのはだれ?」

「歌っているのはだれ?」('80・ユ−ゴスラビア)監督:スロボダン・シャン 脚本:ドゥシャン・コバチェビッチ/ベリコ・デスポトビッチ 撮影:ボジダ−ル・ニコリッチ 音楽:ボイスラブ・コステッチ 出演:パブレ・ブイシッチ/ドラガソ・ニコリッチ/アレクサンダル・ベルチェク
★'41年、セルビアの田舎から首都ベオグラ−ドに向かう木炭バスに、ジプシ−や農夫、ハンタ−らさまざまな人々が乗り合わせる。続出するアクシデントの数々を人々とともに滑稽に詩的に綴っていく。ユ−ゴの俊英シャン監督が34歳の時に手掛けた劇場用映画のデビュ−作。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎ジプシ−の兄弟が唄う歌から物語が始まり、弟の弾く口琴のリズムに乗って木炭バスが野道を延々と行く。その音楽と映像のリズムがコミカルで好ましい。しかしその野道は戦場に向かう道であって、バスの乗客たちの中にも差別と偏見があり、決してのどかなだけのドラマではない。それを一気に気付かされるのが衝撃的なラスト・シ−ンであって、物語は兄弟の唄う歌によって終わりを告げるのだった。呑気呆亭