6月19日(金)「トム・ホ−ン」

「トム・ホ−ン」('79・米)製作総指揮:スティ−ブ・マックイ−ン 監督:ウィリアム・ワイア−ド 脚本:ト−マス・マクゲイン/バッド・シュレイダ− 撮影:ジョン・A・アロンソ 音楽:ア−ネスト・ゴ−ルド 出演:スティ−ブ・マックイ−ン/リンダ・エヴァンス/リチャ−ド・ファ−ンズワ−ス/スリム・ピケンズ/ビリ−・グリ−ン・ブッシュ
★「荒野の七人」「ネバダ・スミス」などでスクリーンを飾り多くのファンを魅了した大スター、S・マックィーン主演による西部劇。開拓時代末期の実在の人物“トム・ホーン”をモデルに、その波乱に満ちた半生を綴る。マックィーンは本作完成後の翌年、この作品の撮影中から噂されていた肺ガンにより死亡した。<allcinema>
★S・マックイ−ンにとって最後の西部劇となった作品で、実在のガンマン“トム・ホ−ン”の生涯を、自ら伝記を調査するほどの熱の入れ方で完成させた。ホ−ンの老いとマックイ−ンのそれが重なり合い、一種悲壮な色調を帯び、枯れた味わいの余韻を残した。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎マックイ−ン最後の西部劇とか。思えば我々が彼を知ったのはテレビの「拳銃無宿」であった。放映は'58年〜61年までとのことだから、ボクラがテレビ画面上でジョッシュ・ランダルという一風変わった性格の賞金稼ぎに出会ったのは13歳頃のことだったわけだ。彼が腰に帯びていた変わった銃にボクラの目はたちまち惹きつけられ、お尋ね者をその生死を問わず賞金目当てに狩るジョッシュ・ランダルの特異な物語(30分番組)を毎週待ちかねるようになったのだった。彼の持つ銃はウインチェスターライフルの銃身と銃床を切り詰めレバ−をル−プレバ−にした改造銃で、腰に特殊な金具で装着され、射撃時には左手で銃身を握りル−プレバ−を動かして発射する。これを日本では「ランダル銃」と名付けたりした。そして、この作品をきっかけにマックイ−ンは映画に進出し「荒野の七人」でランダルに似たキャラクタ−を演じてスタ−になったのだった。そのマックイ−ンが最後に出演したこの映画の中で使用したのが、この「ランダル銃」とは対照的なウインチェスタ−M1878という長大な銃身を持つ“バッファロ−・ガン”であったことが面白い。身長の低いマックイ−ンがM1878を構えるといかにも特異で、この主人公トム・ホ−ンという男の頑固一徹に生きてきた不器用な生涯が、マックイ−ン自身のそれに重なって思われるのである。呑気呆亭