5月30日(土)「タクシ−ドライバ−」

「タクシ−ドライバ−」('76・米)監督:マ-チン・スコセッシ 脚本:ポ−ル・シュレ−ダ− 撮影:マイケル・チャップマン 音楽:バ−ナ−ド・ハ−マン 出演:ロバ−ト・デニ−ロ/シビル・シェパ−ド/ピ−タ−・ボイル/ジョデイ・フォスタ−
★ニューヨークの夜を走るひとりのタクシードライバーを主人公に、現代都市に潜む狂気と混乱を描き出した傑作。ベトナム帰りの青年トラヴィス・ビックルは夜の街をタクシーで流しながら、世界の不浄さに苛立ちを感じていた。大統領候補の選挙事務所に勤めるベッツィと親しくなるトラヴィスだったが、彼女をポルノ映画館に誘ったことで絶交されてしまう。やがて、闇ルートから銃を手に入れたトラヴィスは自己鍛錬を始めるが、そんな彼の胸中にひとつの計画が沸き上がる…。P・シュレイダーの脚本をM・スコセッシが監督し、独特の雰囲気を持った“現代劇”を造り上げた。トラヴィスのキャラクターはあまりにも強烈で、70年代半ばから映画ファンとなった男たちにとってデ・ニーロは松田優作と並ぶヒーローになった。これが遺作となったB・ハーマンのスコアも驚異的で、特にトム・スコットのアルト・サックスが冴え渡るメイン・タイトルはあまりにも秀逸。カンヌ映画祭グランプリ受賞。<allcinema>

◎公開当時見た時の衝撃的な記憶が残っていて、改めてこの年になって見直してみるとデニ−ロの若かったことに驚く。前半は中々緊張感があって見応えがあったのだが、せっかく口説き落としてデ−トした彼女をポルノ映画館に誘うという間抜けなことをして振られてしまう。それから元々少し狂っていた頭のネジが外れてしまってテロリストを指向するのだが、頭をモヒカン刈りに極めて乗り込んだ大統領候補の演説会では警備の厚さに気後れしてしまってスゴスゴと逃げ出す始末。結局正義派ぶって大して悪辣でもないチンピラギャングを殺してうっぷんを晴らすに至っては“なんじゃコリャ!”であった。見直すというのも考え物ではある。呑気呆亭