5月29日(金)「アウトロ−」

「アウトロ−」('76・米)監督:クリント・イーストウッド 原作:フォレスト・カ−タ− 脚本:フィル・コ−フマン/ソニア・チャ−ナス 撮影:ブル−ス・サ−ティ−ズ 音楽:ジェリ−・フィ−ルデイング 出演:クリント・イーストウッド/チ−フ・ダン・ジョ−ジ/ソンドラ・ロック
南北戦争末期。ある日、農夫のジョゼイ・ウェルズは、突然現われたテリルという男が率いる北軍直属の一隊に妻子を殺されてしまう。怒りに燃えるジョゼイは銃を携えてフレッチャーらのレジスタンスに加わり、復讐に立ち上がった。しかし、間もなくテリルの策略にはめられ、仲間の多くが殺される。その難を逃れたジョゼイは独り、インディアンの土地をさすらうことに。やがて彼は、その道中でチェロキー族や美しい女性ローラと出会い、共に旅を続けていく。だがその一方、執拗にジョゼイの行方を追うテリルたちの影が徐々に迫っていた…。
 南北戦争後の西部に生きた男ジョゼイ・ウェルズの半生を描いたイーストウッド監督・主演の意欲作。アメリカ建国200年記念として製作された大作であったが、単なる娯楽西部劇に終る事なく、一人の男を通してアメリカの歴史を浮かび上がらせた秀作。どことなくニュー・シネマの匂いがする作風もあって、監督イーストウッドを語る上で決して無視できない作品である。<allcinema>

◎イ−ストウッドの監督作品中では最も好きな1作である。主人公ウェルズの造形も的確で、旅を続ける中でウェルズの回りに集まってくる連中(犬も含めて)の人物造形も、脚本の手柄も大きいと思うがユ−モア溢れる筆致で描かれており好感が持てる。特に傑作なのが彼を賞金首として付け狙うチ−フ・ダン・ジョ−ジとのやり取りで、インディアン女を中に挟んでの駆け引きと、その女を介在として最初の「家族」を意図せず形成してしまう顛末には笑わされた。その「家族」は次第に膨らんできて、助けた老婦人とその娘が息子の残してくれた牧場の家に落着くことになり、ここに奇妙でアナ−キ−な共同生活が始まって、殺伐とした復讐譚の後に何だかホッとさせられてしまったのだった。呑気呆亭