5月16日(土)「戦争のはらわた」

戦争のはらわた」('75・米)監督:サム・ペキンパ− 原作:ウイリ−・ハインリッヒ 脚本:ジュリアス・J・エプスタイン/ハ−バ−ト・アスモディ 撮影:ジョン・コロキン 音楽:ア−ネスト・ゴ−ルド 出演:ジェ−ムズ・コバ−ン/マクシミリアン・シェル/センタ・バ−ガ−/デヴィッド・ワ−ナ−/ジェ−ムズ・メイスン
★ひたすら男の理想とする“闘い”と“夢”を追求してきたペキンパ−監督が、'43年のロシア戦線において死と対峙する兵士たちのなかにそのテ−マを求めた力作。同年、ドイツ軍はソ連軍の反攻に遭い、次第に敗色を濃くしていった。ドイツ軍第2小隊を率いる人間味あふれるスタイナ−伍長(コバ−ン)と、名誉欲に溺れた中隊長(シェル)との激しい確執のドラマが展開する。凄絶な戦闘に男たちの求めるものは何か。ペキンパ−監督は戦場の男たちの生きざまを、スロ−モ−ションを効かせたダイナミックな演出であざやかに描写。ゴ−ルド作曲のエモ−ショナルなテ−マ音楽も胸をえぐる。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎公開時劇場で見たときは思わなかったのだが、戦闘シ−ンで敵(ロシア兵)と味方(ドイツ兵)の区別が判然とせず、なにやらゴチャゴチャに殺し合っているような感じがあって、スタイナ−伍長の活躍にも今一感情移入出来なかった。良心派の将校デヴィッド・ワ−ナ−の描写も持って回った感があって、指揮官のジェ−ムズ・メイスンが彼の才能を惜しんで戦線から離脱させる設定も大した感銘を与えなかった。唯一宜しかったのが貴族階級出身故に、是が非でも「鉄十字章」を得て故郷に戻らなければならないという宿命に突き動かされる中隊長役のマクシミリアン・シェルであった。こうした屈折した性格の役柄を演じるとまさにハマリ役、ラストのスタイナ−伍長との狂気の突撃はなによりも素晴らしく、それまでのモヤモヤを吹き飛ばしてくれたのだった。呑気呆亭