4月30日(木)「風とライオン」

風とライオン」('75・米)監督・脚本:ジョン・ミリアス 撮影:ビリ−・ウイリアムズ 音楽:ジェリ−・ゴ−ルドスミス 出演:ショ−ン・コネリ−/キャンデス・バ−ゲン/ブライアン・キ−ス/ジョン・ヒュ−ストン
★各国の陰謀が渦巻くモロッコ。一族の誇りのためにアメリカ人母子を誘拐したリフ族の首長ライズリ−に対し、アメリカ大統領ル−ズベルトは救出艦隊を派遣する。闘いのなかでふたりの間には奇妙な友情が芽ばえはじめる・・・。J・ミリアスが豪快に描く骨太のアクション映画。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎原作があるのかそれともこれはミリアスの創作なのか。デヴィッド・リ−ンの「アラビアのロレンス」のテ−マに似たアラブと西欧との確執が描かれているが、驚いたのは南北戦争終結後40年くらいしか経たぬのにアメリカ軍が恐ろしく近代化されていることだった。その近代化された米軍が問答無用にアラブの人々を虐殺する描写は、西欧の人種観と傲慢さを見事に象徴していて、果ては西欧の異端児であるドイツ軍を悪役にしてのけたご都合主義にはもはや何をか言わんや。コネリ−とバ−ゲンの好演も無駄になったということだ。不愉快な映画である。呑気呆亭