4月10日(金)「忠臣蔵外伝・四谷怪談」

忠臣蔵外伝・四谷怪談」('94・東映)監督・脚本:深作欣二 原作:鶴屋南北 脚本:古田求 撮影:石原興 美術:西岡善信/丸井一利 音楽:和田薫 出演:佐藤浩市/高岡早紀/蟹江敬三/津川雅彦/荻野目慶子/石橋蓮司/渡辺えり子
★“四谷怪談”に“忠臣蔵”を融合させた異色のラブ・ストーリー。監督は「里見八犬伝」「いつかギラギラする日」等の深作欣二。孫娘・お梅が民谷伊右衛門に惚れたと知った吉良の家臣・伊藤喜兵衛は、伊右衛門の妻・お岩に毒を盛る。それを知った伊右衛門は、結局お岩を見捨ててお梅と一緒になるのだが……。主役のお岩を体当たりで演じた高岡早紀のヌードも話題に。<allcinema>

◎この映画で深作が企んだのは琵琶という禍々しさをその出自に秘めている楽器の音を、泰平の元禄の江戸の世に響かせてみようということだったのではあるまいか。その琵琶を徳川幕府の施政に対する叛逆の志を腹の底に燻らせる赤穂浪士に持たせ、彼らを辻に芸を売る乞胸に堕とさしめてその奏でる音色に一層の鬼色を帯びさせる。その音色が最高潮に達するのは主税と矢頭右衛門七が決意の浪士たちの前で琵琶の音を伴奏に舞う一差しと、狂姫お梅(荻野目慶子)の異様な舞いとの狂瀾のカットバック、これこそがこの映画の見所であったろう。四十七士の討ち入りも何もかも、他は付け足しにしか過ぎないと思わせるほどに素晴らしいシ−ンでありました。呑気呆亭