3月31日(火)「愛の嵐」

「愛の嵐」('73・伊)原作・監督・脚本:リリア−ナ・カバ−ニ 原作:バルバラ・アルベルティ/アメディオ・パガ−ニ 脚本:イタロ・モスカ−ティ 撮影:アルフィォ・コンティ−ニ 音楽:ダニエル・パリス 出演:ダ−ク・ボガ−ド/シャ−ロット・ランプリング/フィリップ・ルロワ
★イタリアの女流監督L・カバ−ニがナチズムの狂気にもてあそばれた男女の悲劇を描いた作品。'57年冬のウィ−ン。かつてナチス親衛隊員だったマックスは、今はホテルの夜のフロント係として身元を隠して働いているが、ある日、収容所時代にもてあそんだルチアと再開する。当時のふたりは、支配する者とされる者との関係を超えて、異常な愛の絆で結ばれていた。ルチアは今は高名な指揮者の妻におさまっていたが、再開したマックスとなぜか離れられなくなる。そしてふたりは再び愛の嵐に身をゆだねていく・・・。ナチズムという狂気のなかでの頽廃に彩られた狂気の愛が官能的に描き出されている。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎この淫らで猥褻で心に染みる凄まじい愛の物語を批評する言葉をボクは持たない。ダ−ク・ボガ−ドとシャ−ロット・ランプリングはまさにこの映画を世に贈るためにこの世に生を受け俳優となったとしか思えない。原作・監督・脚本のリリア−ナ・カバ−ニはこの二人の俳優を得て、密かに温めていた「悪夢」を現実のモノとすることの出来る予感に打ち震えたに違いない。これは女性監督カバ−ニによる不滅の傑作である。呑気呆亭