2月28日(土)「わらの犬」

わらの犬」('71・米)監督・脚本:サム・ペキンパ− 原作:ゴ−ドン・M・ウイリアムズ 脚本:デビッド・グッドマン 撮影:ジョン・コロキン 音楽:ジェリ−・フィ−ルディング 出演:ダステイン・ホフマン/ス−ザン・ジョ−ジ/ピ−タ−・ボ−ン/ピ−タ−・ア−ン/T・P・マッケンナ/デヴィッド・ワ−ナ−
★イギリスの片田舎に越して来た学者夫婦。暴力を否定する夫は周囲の仕打ちにもひたすら耐え続けるが、ある夜、かくまった精神薄弱者に牙をむく村人相手に遂にその怒りを爆発させる…。妻(S・ジョージ)の輪姦シーンも強烈だが、後半繰り広げられるバイオレンス・シーンはそれまでの鬱屈があるだけに物凄い迫力となっている。暴力派と呼ばれたペキンパーの面目躍如といった感はあるが、このカタルシスを生み出したのは前半部分がたんねんに描写されているからである。気弱な主人公に扮したD・ホフマンはいつもながらの上手さであるが、ドラマの鍵となる精神薄弱者を演じたD・ワーナーの好演が何よりも光る。<allcinema>

◎米国の数学者というエリ−トと結婚してイギリスの片田舎の故郷に帰ってきたエミ−の登場が、薄いセ−タ−越しにノ−ブラの乳首が見えるというこれみよがしのモノであったことが、ラストの惨劇に繫がる原因であったことを思えば、そんなグラマ−の女房にス−ザン・ジョ−ジを配し、内気な数学者デビットに「真夜中のカ−ボ−イ」のラッツオ臭を色濃く漂わせるダステイン・ホフマンを起用したキャステイングの失敗(こんな男がエミ−を満足させられるのかと誰しも、村の男たちも考える)が、この作品を後味の悪い映画にしたのだと思う。呑気呆亭