2月18日「夜霧のブル−ス」

「夜霧のブル−ス」('63・日活)監督:野村孝 原作:菊田一夫 脚本:国弘威雄 撮影:高村倉太郎 照明:藤林甲 音楽:伊部晴美 出演:石原裕次郎/浅丘ルリ子/山茶花究/岩崎加根子/垂水悟郎/小池朝雄
菊田一夫の原作を石原裕次郎浅丘ルリ子主演、野村孝の監督で映画化したム−ドアクションの代表作。横浜港、船の荷役を牛耳る野上組は商売仇の岡部組を叩きつぶして得意の絶頂にあった。そんな時、西脇と名のる男が野上に会見を申し込んでくる。殺気立つ子分たちの前で西脇は話を始める・・・。
主人公の長い回想のあとにクライマックスがくるという大胆な構成のなかに、主役の男女のひたむきな愛を盛り込んだ一編。叙情派・野村孝の演出が冴え渡り、日活アクション史上に残る秀作に仕上がった。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎裕チャン主演の映画にもしヒロイン浅丘ルリ子の存在がなかったら、石原裕次郎があれほどに国民的な人気を博することはなかったのではないだろうか。同じ存在の北原三枝が'50年代のヒロインとすれば、浅丘ルリ子は'60年代のヒロインであった。その二人のヒロインとの作品の間を大したことのない主演作がつないでいるのを見ると、そして浅丘ルリ子以降の石原裕次郎作品に見るべきモノがないことを考えると、いかにこの二人の対照的な性格を持ったヒロインを各10年代に得たことの幸運を、裕次郎は感謝しなければならないことか。因みに列挙すれば北原三枝との共演は「俺は待ってるぜ」「嵐を呼ぶ男」「錆びたナイフ」「明日は明日の風が吹く」「★風速40米」「赤い波止場」。浅丘ルリ子との共演作は「★憎いあんちくしょう」「★赤いハンカチ」「★夕陽の丘」「★帰らざる波止場」「★夜霧のブル−ス」「★夜霧よ今夜も有難う」。★印は照明技師が名手藤林甲である。作品はアクション物に限った。呑気呆亭