10月2日(木)「トプカピ」

「トプカピ」('64・米)製作・監督:ジュ−ルス・ダッシン 原作:エリック・アンブラ− 脚本:モンヤ・ダニシェフスキ− 撮影:アンリ・アルカン 音楽:マノス・ハジダキス 出演:メリナ・メルク−リ/マクシミリアン・シェル/ピ−タ−・ユスチノフ/ロバ−ト・モ−レイ/エイキム・タミロフ/ジェス・ハ−ン/ティトス・ヴァンディス
★トルコのトプカピ宮殿博物館にある宝剣の奪取におよぶ女盗賊と仲間たち、そしてその一連の騒動と追走劇に巻き込まれてしまう男の顛末を描いた犯罪コメディ。主人公の女泥棒に扮したM・メルクーリを始め、芸達者な役者陣が魅力的。J・ダッシンが軽妙な冒険活劇にもその手腕を発揮した、泥棒映画の代名詞的作品。
 女盗賊エリザベスは、トルコ、イスタンブールのトプカピ宮殿博物館に所蔵されている宝剣の強盗計画を立てる。やがて現地入りした彼女は、イギリス人ガイドのシンプソンを運転手として雇うことに。だが彼は、ひょんなことから逆に警察のスパイとしてエリザベスたちに密着するハメになる。そして、その道の専門家である仲間たちも集結し、いよいよ厳重な防犯設備で守られた博物館へ忍び込むエリザベス一味だが…。<allcinema>

◎ピ−タ−・ユスチノフ演ずるシンプソンを盗賊一味に加える仕掛けを設定したことがこの作品を成功させたと思う。同じダッシン監督の「男の争い」に比べれば犯罪の計画遂行もより緻密になっていて、博物館から宝剣を奪取するシ−ンは実に緊迫感があって面白かった。ただ、今回見直してみて一つ疑問を持ったのは、実行犯の男が宝剣をレプリカとすり替えるシ−ンで、吊り下げたロ−プが揺れて思わず宝剣を取り落としそうになり、宝剣を重ねて持った手の中で入れ替わってしまったように見えたのだった。犯行は窓から飛び込んだ一羽の鳥が防犯設備に触れたことによってバレてしまった訳だが、捕まった連中が微罪(出獄を予告する会話)で済んだのは、結局館内に侵入しただけで未遂(宝剣が入れ替わっていたために)に終わったと当局が考えたからだったのではないだろうか(それでなければあのシ−ンは無駄なカットになる)。その辺りの説明がなかったのだが、機会があればもう一度DVDで見直して確認してみたいと考えている。呑気呆亭