8月29日(金)「シャイアン」

「シャイアン」('64・米)監督:ジョン・フォ−ド 出演:リチャ−ド・ウイドマ−ク/キャロル・ベイカ−/ジェ−ムズ・スチュワ−ト/ア−サ−・ケネディ/エドワ−ド・G・ロビンソン/カ−ル・マルディン/ドロレス・デル・リオ/ハリ−・ケリ−Jr
★合衆国のインディアン政策によって、シャイアン族は居留地に押し込められていた。だが合衆国の約束した物資は一向にとどかない。餓えと病で多くの仲間を失った彼らは、元のイエローストーンへ戻ることを決意する。しかしその行動は反乱行為とみなされ、騎兵隊による討伐の目標となってしまう…。横暴な白人によって滅ぼされようとする、少数派民族の悲哀を描く。<allcinema>

◎公開当時の評判は芳しくなかったと記憶するが、今回見直してみてこれはフォ−ドの堂々たる傑作であると思った。「駅馬車」でインディアンのすさまじい戦闘性をダイナミックに描いて見せてくれたフォ−ドだが、この作品ではシャイアン族の誇り高い人間性を淡々と描き尽している。既に'50年の作品「幌馬車」で赤人の族長に“白人で嘘を付かないのはモルモン教徒だけだ!”と言わしめたフォ−ドだが、この映画でも戦士はおろか女子供に至るまで背筋をピシッと伸ばして荒野を歩む姿に強靱なモラ−ルの高さを砂まみれの映像によって語り、それに引き比べて政府高官を始めだまし討ちを恥とも感じない牧童に至るまで、平気で約束を破り嘘を付くという陋劣な白人像を対置させる。唯一の救いはウイドマ−クの働きによって生き残ったシャイアン族が故郷に帰還することが出来たことなのだが、それもアメリカというダブルスタンダ−ドの国にあっては、いずれなし崩しに土地を奪われ誇りを失わさせられてしまうだろうと思わざるを得ないと感ずるのだが、それはまた別の話である。呑気呆亭