7月29日(火)「ラ・ジュテ」

ラ・ジュテ」('62・仏)監督・脚本:クリス・マルケル 撮影:ジャン・チアボ− 音楽:トレヴァ−・ダンカン 出演:エレ−ヌ・シャトラン/ダフォ・アニシ/ジャック・ルド−/ジャン・ネグロニ(ナレ−ション)
★「ベトナムから遠く離れて」など、主に記録映画を活動の場としヌーヴェル・ヴァーグの中でも特異な位置を占める作家C・マルケルが全編スチール・カットで撮った中編SF映画の佳作。人類が絶滅した未来からその原因となった出来事を探るため過去にタイムトラベルした男は一人の女性と知り合う。何故か見覚えのあるその女性と行動を共にするうち、彼は幼いころ飛行場で彼女を見たことを思い出す。二人はやがて全ての出来事の根源となる飛行場へとたどり着くのだが…。東西冷戦やベトナム戦争など、緊張の激しい世相の中で作られたこの作品は内外で高い評価を受け、現在でも伝説的な名作として知られている。また96年の「12モンキーズ」でも原案として用いられ基本的なストーリーや飛行場のシーンなどがかなり大幅に引用されている。<allcinema>

◎全編スチール・カットでありながら少しも映画的な不満を覚えなかったのは、ひとえに主演女優エレ−ヌ・シャトランの流転する表情の豊かな魅力と、それを少しの遅滞もなく捉えたキャメラと、その映像とモノロ−グをモンタ−ジュしたクリス・マルケルの腕によるものである。不思議な映像作品であった。呑気呆亭