6月25日(水)「尼僧ヨアンナ」

「尼僧ヨアンナ」('61・ポ−ランド)監督・脚本:イエジ−・カワレロウイッチ 原作:ヤロスワフ・イワシキェウイッチ 撮影:イエジ−・ウォイチェック 出演:ルチ−ナ・ウインニッカ/ミエチフワフ・ウォイト/アンナ・チェビエレフスカ
★歴史的記述をもとにした短編小説の映画化。17世紀のポ−ランドに寒村にある尼僧院で、院長ヨアンナが悪魔にとり憑かれる。その調査と悪魔ばらいに派遣されたひとりの神父は、彼女に同情し、なんとか救おうとするが・・・。閉鎖的環境の中で抑圧される人間たちの姿に、現代ポ−ランドの苦悩を投影した秀作。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎上の解説の“閉鎖的な云々”はそれとして、若い頃にATGで観たときには判らなかったことがある。この神父は深くヨアンナを愛したのだ。それゆえにヨアンナに取り憑いた悪魔を自分の身に引き受け、その悪魔を自分の身と一緒に滅ぼすために殺人を凶行する。プロロ−グで神父の左手によって何気なく振り下ろされた斧がラストで重要な意味を持つことになる設定は実に恐ろしく、そのまるで蛇が自分の尾を呑むかのような黙示的な回帰性は、恐らくこの事態が永遠に繰り返されるのであろうことを暗示するかのようだ。呑気呆亭